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UPDATE:2005/11/12

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「ヒヤリとしたハットした」コーナー メールマガジンサンプル(3)

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                            Vol.3
      医┃師┃の┃た┃め┃の┃薬┃の┃時┃間┃ 
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医師、歯科医師のみなさま、こんばんは。

ビ・シフロール錠ほか<塩酸プラミペキソール水和物>の添付文書では「警告」の
項に「前兆のない突発的睡眠及び傾眠等が見られることがあるので、本剤服用中には、
自動車の運転、機械の操作、高所作業等危険を伴う作業に従事させないよう注意する
こと。」と記載されていることはご存じでしょうか?
 最近、本剤と塩酸ロピニロール(本邦未発売、申請中)及びペルマックス錠ほか
<メシル酸ペルゴリド>などのドパミン受容体作動薬を使用しているパーキンソン病
患者では、突然の制御不能の眠気発症のリスクが有意に高いことが報告されました 
(Arch. Neurol., 62:1242-1248,2005)。パーキンソン病患者 929 人に対する症例対
照研究の結果によると、制御不能の眠気の発症は、22% の患者が経験していたという
ことです。更に、突然の制御不能の眠気を経験するリスクは、ドパミン受容体作動薬
を服用した患者では、他のパーキンソン病治療薬を服用した全患者と比較すると有意
に 2.8 倍高く、メネシッド錠ほか<レボドパ/カルビドパ>のみを服用した患者と比
較しても 2 倍高かったと報告されています。これまでにもプラミペキソールやロピ
ニロール服用患者で、車の運転中に突然居眠りをしてしまい、事故をおこした副作用
症例が報告されていますが (Neurology. 52(9):1908-10,1999)、今回の症例対照報告
でそのリスクが明らかになったと言えます。したがって医療関係者は、ドパミン受容
体作動薬を服用しているパーキンソン病患者においては前兆のない突発的睡眠及び傾
眠等が高頻度に現れることを再認識すると共に、このような患者には車の運転など危
険を伴う作業に従事しないように注意を喚起するべきだと考えます。   先月の 29
日に、「ヒヤリハットに学ぶ服薬指導のリスクマネジメント」(澤田康文著:日経 BP)
という本が出版されました。ヒヤリハット事例の原因を分析し、リスクを回避するた
めの服薬指導術を示す実践書です。ヒヤリハット事例の中から、服薬指導の内容に問
題があった事例を 123 件紹介。事例ごとに、なぜミスが起こったかその原因をひとつ
ひとつ分析し、患者に正しく薬を服用してもらうための指導のコツと現場で使える服
薬指導術を解説しています。興味のある先生は、チェックしてみてください。
  さて、今回は「ヒヤリとしたハットした」コーナーの事例から、
  《抗不安薬、コンスタンからセディールへの急激な切り替えはコンスタンの離脱症
  状に注意》  を紹介します。 今後の診療にお役立ていただければ幸いです。
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┃「ヒヤリとしたハットした」コーナー ( 3 )      ┃
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《抗不安薬、コンスタンからセディールへの急激な切替はコンスタンの離脱症状に
注意》

<処方の具体的な内容は?>
40 歳代 男性
 <処方1>(10月1日)
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1. コンスタン錠(0.4 mg)  3 錠  1 日 3 回  毎食後服用  14日分
2. トフラニール錠(25 mg)  2 錠  1 日 1 回  夕食後服用  14日分
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 <処方2>(10月15日)
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1. セディール錠(5 mg)   3 錠  1 日 3 回  毎食後服用  14日分 
2. トフラニール錠(25 mg)  2 錠  1 日 1 回  夕食後服用  14日分
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<何が起こりましたか?>
・処方1から処方2に変更して数日後「今回変更となったセディールを服用してか
ら 3 日たつのですが、食欲がなく、吐き気がして、また不安で落ち着かないのです
が。時々暑くもないのに汗がでます。セディールというお薬の副作用だと思うんで
す。それにこの薬あまり効かないのではないでしょうか。以前から飲んでいるコン
スタンの方がいいみたいですが・・・。」と患者から訴えの電話が処方医にあった。

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