「相互作用クイズ」コーナー(7)資料
【症例 1】 25 歳の男性、21 歳から双極性障害のため治療を受けていた。オランザピン 30 mg/日による治療が導入されたが、特にこれといった副作用は惹起しなかった。オランザピンでの治療が 5 週間行われた後に、患者は喫煙量をこれまでの 40 本/日から 10 本/日に減量した。4 日後、患者はアカシジア(静座不能)を発現し、その後、アキネシア(運動不能症)などが現れるようになった。オランザピンを20 mg/日に減量したところ、症状は改善した[文献 1)]。 |
【症例 2】 65 歳の女性、肺気腫の治療のため徐放性テオフィリン 200 mg を 1 日 2 回服用していた。患者の喫煙量は以前は 90 箱/年程度であったが、あるとき、患者は自己判断で禁煙した。その結果、禁煙後、3 週間にわたって衰弱、断続的な悪心、嘔吐があり、入院に至った。テオフィリンを過量服用した痕跡はなかった。その後痙攣まで起こり、血清中のテオフィリン濃度は 45.2 μg/ml と上昇していた(治療濃度:10〜20 μg/ml)。患者は、最終的には死亡した[文献 2)]。 |
【症例 3】 35 歳の男性の統合失調症患者が 7 年間継続して 700 〜 725 mg/日のクロザピンを経口投与されていた。患者は、慢性的なヘビースモーカーだったが、あるとき禁煙したところ、 2 週間後に混迷・昏睡を伴う間代性強直性けいれんが突然発症した。2 日後患者は完全に症状から回復したが、クロザピンの投与量は425 mg/日(約 40% 減)で問題なくコントロールすることができた[文献 3)]。 |
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